Saturday, June 6, 2009

マルセル モース Marcel Mauss 2 /////////// // gift and cntract 贈与と契約



(本テーマと写真は特に関係ありません大石内蔵助)
(This photo is nothing to do with title theme. )

日本人にはあまり馴染みが無いかもしれませんが、英米法の重要な考え方に、約因(considerration)の法理と言う概念があります。
 その有名な適用判例の一つに、嫁の側からの持参金つき婚姻予約はconsiderration にあたると言う裁判例があります。くわしい事は不明ですが、はやい話、「娘を貰ってくれたら10万ドルやる。誰かよい男は居らんか」みたいな事です。この時10万ドルと婚姻の間の対価性を、約因 considerration と言います。(もちろんこの例は商品等の売買とは違います。男を10万ドルで買っているわけではありません。)
約束は守りなさいと言う時、この約因がある事が欠かせないとされます。また約因があれば口約束でも法的拘束力を持つ事になります。
 一方この10万ドルは法律上は贈与にはあたりません。贈与それ自体には約因がないので約束を守らせる強制性がありません。
 ところで、マルセル モースの贈与論の最後のほうで(有名なポトラッチやクラ交換だけでなく)ゲルマン部族の法について論じられています。(現代の英米法もゲルマン部族の慣習法の痕跡が残っているとされています。ちなみに現代ドイツ法は断絶しているそうです。)
 それによれば人を拘束する契約も、霊的な力を持った物の贈与に起源を持つとの事であり、ドイツ語のGiftが贈り物であると同時に毒を意味する民間伝承を,例として挙げています。
 日本の法律では、契約は当事者の意思の一致で成立するとされていますが、意思の一致が成立すること自体の条件は自明ではありません。それでも建前では、自分で決めた事だから、約束は守りなさいと言う訳だ。しかし主体の自由意志を契約行為の第一原因と考えるのは、ちょっと無理です。(就業の際の雇用契約など、自分で決めた訳でもないことに、さんざん振り回される事が多い事だと思います)
 それに比べて約因という概念は、契約の原因は不問ですから、魔術的贈与の効果として成立した契約でも構わない事になります。(とはいえ賄賂の贈与の効果で契約を結べば違法です)

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